「毎日歯を磨いているのに虫歯になってしまう」という患者さんが案外いらっしゃいます。
ご自分では「ちゃんと隅々まで磨いている」つもりでも、歯にはハブラシが当てにくいところなどもあって、実は磨き残しは多いものです。
また、本来は虫歯予防と歯周病予防とでは、ハブラシの種類や磨き方も違ってきますが、このこと自体、「知らなかった」という読者の方も多いのではないでしょうか。
どうしても自己流の磨き方では限界があります。
私は日頃から、このようなことを患者さんにアドバイスしてさしあげるよう心がけていますが、それでも、なかなか十分に伝えきれないというもどかしさがあります。
そこで、本書を執筆しようと思い至ったのです。
現在、歯の健康に関して、いろいろな情報があふれています。
歯医者さんのアドバイスばかりでなく、テレビや本、インターネットなどを見ても、いろいろな意見や新たな発見が次々に出てきています。
ハミガキひとつとっても、歯医者さんによって考え方が微妙に違っていることもあります。
もちろん、それらは参考になることも多く、実践されている患者さんも多いのではないかと思います。
でも、私は、それらの方法にプラスして、私が長年の経験をもとに考案したハミガキ法も取り入れていただきたいと考えています。
本書で紹介した「つるつるハミガキ法」を参考にして、ご自分のハミガキには何が足りないのかを見直すきっかけにしていただければ幸いです。
試していただく価値はあるものと自負しています。
私たち歯科医や歯科衛生士の役割は、悪くなってしまった歯を良い状態にし、患者さん自身がきちんと歯を磨ける状態に戻してさしあげることです。
ただし、一番大事なのは、やはり患者さん自身の意識改革です。
「とりあえず治したから、もういいや」ではなく、「これからは自分でしっかり予防する!」という気持ちが本当のスタートになるのです。
確かに、「つるつるハミガキ法」は、全部をきちんと実践しようとすれば、ちょっと面倒かもしれません。
ステップ3くらいで挫折してしまったり、最初の「ガムを噛む」しか結局続かなかった……という方もいるでしょう。
でも、はじめはそれでいいのです。
理想は7つ全部を実践していただくことですが、まずは気楽な気持ちで、無理のない範囲で取り組んでみてください。
歯は第一の消化器官です。
キレイでよく噛める歯の状態が維持できるようになれば、それが健康で快適な生活を送る基礎になります。
ハミガキの一番の目的は、歯やお口の健康を取り戻し、それを全身の健康につなげていくことです。虫歯菌や歯周病菌が、実は全身の病気と深い関係があるというのは、本文で述べた通りです。
また、歯がキレイになり、口元が美しくなると、笑顔に自信がもてるようになって自然に表情が明るくなり、精神面でも健康になるでしょう。
ヘアースタイルや服装を変えてみたくなるなど、前向きに日常生活をエンジョイできるよ
うになるのです。
美しい口元は、まさに多くの面からあなたの人生を変えていくでしょう。
レッツトライ 7ステップス!