●早期治療、早期ケアが大事
歯周病の進行を見ると、歯ぐきがちょっと赤く腫れる程度の軽度歯肉炎から、歯がぐらぐらしてくる重度歯周炎まで、程度は非常にさまざまであることがわかると思います。
歯周病の程度によって治療方法も異なります。ごく軽度であれば、プラークコントロールを行うだけで回復します。かなり進行している場合には、残念ながら歯を助けることができないということもあります。
成人なら誰でも歯周病はあるともいえるのです。自覚症状がなくても歯科医院を受診しておき、そこからプラークコントロールの両輪、つまり毎日自分で行うセルフケアと定期的に歯医者さんで行うプロフェッショナルケアをスタートさせるのがいちばんの歯周病対策となります。
●治療はまずプラークコントロール
歯周病治療の第一は、口腔衛生を意識したプラークコントロールです。
これまでの口腔衛生の意識・やり方で歯周病になってしまったのですから、そのやり方をあらためない限り、歯周病は一生ついてまわります。
プラークコントロールは歯周病や虫歯の予防のために必要ですが、治療のためにも欠かせないことです。
歯科医院での歯周病治療でも、まずは自分で行うプラークコントロールの指導が行われます。ハミガキなどの正しいやり方を覚え、その日から毎日実行します。
プラークコントロールは、一生続ける当たり前のことなのです。
●スケーリング、ルートプレーニングでガンコな歯石を取り除く
次に行われる歯周病治療は、スケーリングと呼ばれる方法です。
スケーラーと呼ばれる特殊な器具によって、歯のすみずみに付着したプラーク、バイオフィルムや歯石を取り除きます。
手動で行うスケーラーのほかに、超音波スケーラー、エアスケーラーなどがあります。
それでも、目に見えない部分に隠れた歯石を取ることはできません。
そこで次に、ルートプレーニングを行います。
ルートプレーニングでは、スケーリングでは除去しきれないプラーク、バイオフィルムや歯石を、さまざまな形の特殊な器具できれいに取り除きます。
歯ぐきの奥まで行うので、簡単な局所麻酔をすることもあります。多少の出血も見られます。
スケーリングとルートプレーニングを行うと、歯の表面がつるつるになって気持ちよいものです。こうすることによって、バイオフィルムや歯石がつきにくくなるという予防効果もあります。
●歯槽骨が再生するスペースを確保するGTR法
中程度の歯周病であれば、歯周外科治療などの的確な方法によって歯槽骨は少しずつ再生していきます。
しかし、再生は骨よりも歯ぐきのほうが早いため、骨が盛り上がっていくべき肝心のスペースを歯ぐきが埋めてしまうことになります。
そこで、歯周外科治療で病巣部をきれいにしたあとで、その空間に人工素材の膜を置き、歯肉が入り込まないようにする「GTR法」という治療法があり(これは自由診療になります)、歯槽骨の再生を助けてくれます。